日本の外貨準備高とは、日本の通貨当局が保有している外貨建ての資産の残高のことです。財務省は毎月、前月末時点の外貨準備高を「外貨準備等の状況」として公表しています。
本記事では、外貨準備とは何か、誰が管理しているのか、どのような資産で構成されているのかを、財務省と日本銀行の公表資料をもとに解説します。外貨準備高の推移の調べ方や、為替介入との関係も整理します。
外貨準備高とは?
外貨準備とは、国の通貨当局が保有する外貨建ての準備資産のことです。財務省は「外貨準備等の状況」の統計の目的として、外国為替相場の安定のために行う為替介入等の原資として、外国為替資金特別会計および日本銀行が保有する外貨準備資産の状況を明らかにするものと説明しています。
つまり外貨準備は、急激な為替変動への対応など、いざというときに使える外貨の「備え」と考えるとわかりやすいでしょう。外貨準備の計上は、国際通貨基金(IMF)が作成したガイドラインに沿って行われています。
誰が管理しているのか:財務省・外為特会と日本銀行
財務省(財務大臣)
日本では、為替介入は財務大臣の権限で実施されます。外貨準備は、財務省が所管する外国為替資金特別会計と日本銀行が保有しています。
外国為替資金特別会計
略して「外為特会」。為替介入に使われる資金を管理する国の特別会計で、外貨準備資産を保有しています。
日本銀行
日本銀行は、特別会計に関する法律および日本銀行法に基づき、財務大臣の代理人として、その指示に基づいて為替介入の実務を行います。外貨準備の一部も日本銀行が保有しています。
日本銀行は為替介入の「実務」を担いますが、介入を決めるのは財務大臣です。この役割分担は日本銀行の解説ページでも説明されています。
外貨準備の内訳
財務省が公表する外貨準備は、主に次の項目で構成されています。
- 外貨(証券)
- 外国の国債などの外貨建て証券。外貨準備の中心となる項目です。
- 外貨(預金)
- 外国の中央銀行や金融機関などへの外貨建ての預金。
- IMFリザーブポジション
- IMFへの出資などに関連して、日本が必要に応じて引き出せる資金の枠。
- SDR
- IMFが創設した特別引出権(Special Drawing Rights)。
- 金
- 通貨当局が保有する金。重量(トロイオンス)もあわせて公表されます。
- その他外貨準備
- 上記以外の外貨準備資産。
財務省によると、証券と金は時価で評価され、米ドル以外の資産は基準日の市場レートで米ドルに換算されます。金と金利・為替の関係は金価格と為替・金利の関係で解説しています。
最新の日本の外貨準備高(財務省公表)
財務省が2026年10月7日に公表した「外貨準備等の状況(令和8年9月末現在)」による数値です。
| 項目 | 金額(百万ドル) |
|---|---|
| 外貨準備 合計 | 1,178,396 |
| 外貨(証券) | 821,691 |
| 外貨(預金) | 155,222 |
| IMFリザーブポジション | 11,344 |
| SDR | 60,783 |
| 金(27.20百万トロイオンス) | 113,592 |
| その他外貨準備 | 15,764 |
合計は約1兆1,784億ドルで、2026年8月末から291億2,800万ドル減少しました。財務省の公表スケジュールでは、2026年10月末の数値は2026年11月9日に公表予定とされています(日程は変更される場合があります)。最新の数値は必ず財務省の公表ページで確認してください。
外貨準備高の推移を調べる方法
「日本の外貨準備高の推移」を確認したい場合は、財務省の公表データを使うのが確実です。
- 財務省「外貨準備等の状況」のページを開く(毎月末の残高をドル建てで翌月上旬に公表)
- 「統計表一覧」から月ごとの公表資料を確認する
- 長期の推移は、同ページで提供されている時系列データ(CSV形式)を表計算ソフトで開いてグラフにする
注意
財務省は、平成12年(2000年)4月末の計数から現行の公表基準に基づいて公表しているため、それ以前のデータとは連続しない点に注意が必要です。
外貨準備高はなぜ増えたり減ったりするのか
外貨準備高は、為替介入を行わない月でも毎月変動します。主な要因は次のとおりです。
- 評価額の変動:保有する証券や金は時価で評価されるため、海外の金利や金価格が動くと評価額が変わります。
- 為替レートの変動:ユーロなど米ドル以外の通貨建て資産は米ドルに換算して計上されるため、ドルと他通貨の為替レートで金額が変わります。
- 運用収益:保有する証券の利息などの収益。
- 為替介入:ドル売り・円買い介入では外貨が使われ、ドル買い・円売り介入では外貨が増えます。
個々の月の増減がどの要因によるものかは、公表資料だけでは断定できない場合があります。増減の理由を推測で決めつけないことが大切です。
為替介入と外貨準備の関係
日本銀行の解説によると、為替介入には外為特会の資金が使われます。
ドル売り・円買い介入(円安対応)
外為特会が保有するドル資金を売却して円を買い入れます。外貨準備の外貨を使うため、外貨準備が減る方向に働きます。
ドル買い・円売り介入(円高対応)
政府短期証券を発行して円資金を調達し、これを売却してドルを買い入れます。買い入れたドルは外貨準備として保有されるため、増える方向に働きます。
為替介入の実績は、財務省が「外国為替平衡操作の実施状況」として公表しています。介入額の合計は毎月、実施日・金額・売買した通貨の内訳は四半期ごとに公表されます。円高・円安の基本は円高・円安をわかりやすく解説、ドル円の動きはドル円レートと推移をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
日本の外貨準備高はどこで確認できますか?
財務省の「外貨準備等の状況」で確認できます。毎月末の残高(ドル建て)が翌月上旬に公表され、統計表一覧や時系列データ(CSV形式)から過去の推移も確認できます。
外貨準備は誰が管理していますか?
主に財務省が所管する外国為替資金特別会計(外為特会)と日本銀行が保有しています。為替介入は財務大臣の権限で実施され、日本銀行は財務大臣の代理人として介入の実務を行います。
外貨準備にはどのような資産が含まれますか?
外国の国債などの証券、外貨預金、IMFリザーブポジション、SDR、金などです。証券と金は時価で評価され、米ドル以外の資産は市場レートで米ドルに換算して計上されます。
為替介入をすると外貨準備高は変わりますか?
ドル売り・円買い介入では保有するドル資金を売却するため外貨準備は減る方向に、ドル買い・円売り介入では買い入れたドルを保有するため増える方向に働きます。ただし、外貨準備高は評価額や為替レートの変動でも動くため、増減のすべてが介入によるものではありません。

