為替の基礎解説

価値の高い通貨・低い通貨とは

「1単位あたりの値段が安い通貨」は「弱い通貨」なのでしょうか。円換算額のデータを使って、通貨の価値の見方を整理します。

「価値の低い通貨はどこの国の通貨か」「日本円より安い通貨はあるのか」「一番高い通貨はどれか」。海外旅行や為替のニュースをきっかけに、こうした疑問を持つ人は少なくありません。

ただし、通貨の「価値」には、1単位あたりの値段と、ほかの通貨に対して上がっているか下がっているか(通貨の強さ)という、まったく別の2つの意味があります。この記事では、当サイトの日次参照レートを使って両者の違いを確認します。

通貨の「価値」とは何か

ある通貨の価値は、ほかの通貨やモノと交換できる量で表されます。為替レートで「1米ドル=150円」といえば、1ドルの価値を円で表したものです。

ここで注意したいのは、1単位あたりの値段は、その国が通貨の単位をどう決めたかに大きく左右されるということです。たとえば、もし日本が「新しい1円=今の100円」と単位を変えれば、1単位の値段は100倍になりますが、日本経済や円の購買力が変わるわけではありません。

1単位あたりの円換算額で比べる

当サイトが扱う主な通貨について、1単位が何円にあたるかを比べたのが下の表です。1単位の円換算額が大きい順に並べています。

通貨1単位あたり1円あたり対円・1年の変化率
英ポンド(GBP) 211.89円 0.0047 GBP +4.6%
スイスフラン(CHF) 192.65円 0.0052 CHF +0.9%
ユーロ(EUR) 177.10円 0.0056 EUR −0.3%
米ドル(USD) 157.90円 0.0063 USD +2.4%
トルコリラ(TRY) 3.16円 0.3165 TRY −13.8%
韓国ウォン(KRW) 0.118円 8.50 KRW +9.0%

2026年11月2日(月)のECB日次参照レートから算出した参考値です。韓国ウォンは、日本では通常100ウォンあたりで表示されます(上の表では比較のため1ウォンあたりに換算)。「対円・1年の変化率」は約1年前の参照レートとの比較で、プラスはその通貨が円に対して上昇したことを示します。

出典:欧州中央銀行(ECB)ユーロ参照レート(2026年11月2日(月)分、中央ヨーロッパ時間16時ごろ公表の日次参照レートから算出)。リアルタイムの取引レートではありません。

円との交換額をすぐに計算したいときは、下の換算ツールも使えます。

KRW
JPY
10,000 KRW = 1,176 円

(100 KRW = 11.758 円・2026年11月2日(月)の参照レート)

両替や送金で実際に適用されるレートには手数料(スプレッド)が上乗せされます。

日本円より安い通貨・価値の低い通貨の例

「日本円より安い通貨」を「1単位が1円より安い通貨」と考えると、上の表では韓国ウォンが当てはまります。ほかにも、ECBが参照レートを公表している通貨のうち、次の通貨は1単位が1円を下回っていました。

通貨1単位あたり100円あたり
インドネシア・ルピア(IDR)約0.0087円約11,486 IDR
韓国ウォン(KRW)約0.118円約850 KRW
ハンガリー・フォリント(HUF)約0.486円約206 HUF

2026年11月2日のECB参照レート(1ユーロ=177.10円、20,341.45ルピア、1,506.20ウォン、364.50フォリント)から算出。レートは日々変わります。

こうした通貨は「価値が低い通貨」と呼ばれることがありますが、それは1単位の値段が小さいという意味にすぎません。単位が小さい通貨では、日常の買い物の値段が数千・数万単位になるだけで、その国の人々の暮らしの豊かさや通貨の信用力を直接示すものではありません。

一番高い通貨はどれか

1単位あたりの値段が最も高い通貨としてよく挙げられるのが、クウェート・ディナールです。クウェート中央銀行によると、2025年の平均レートは1米ドル=306.4フィルス(1ディナール=1,000フィルス)で、1ディナールは約3.26米ドルにあたります。

この2025年平均の値に、当サイトの最新のドル円参照レート(2026年11月2日(月)、1ドル=157.90円)を掛け合わせると、1ディナールはおよそ520円という目安になります(時点の異なるデータを組み合わせた概算です)。

クウェート・ディナールは、非公表の通貨バスケットに対して価値を固定する仕組み(バスケット・ペッグ)をとっています。1単位の値段が高いのは、通貨単位の決め方と為替制度によるもので、「最も強い通貨」という意味ではありません。

1単位の値段と通貨の強さは別もの

1単位の値段

  • 通貨単位の決め方で大きく変わる
  • デノミで桁が変わることがある
  • 値段の大小だけでは良し悪しは判断できない

通貨の強さ

  • ほかの通貨に対して上がっているか下がっているか
  • 金利、物価、景気、資金の流れなどで変わる
  • ある期間の変化率で比べる

上の表で「1単位あたり」の列と「1年の変化率」の列を見比べると、1単位の値段が高い通貨が円に対して上がっているとは限らず、値段が安い通貨が下がっているとも限らないことが分かります。通貨の強さを比べるときは、通貨強弱のように一定期間の変化率で見るのが基本です。

また、通貨の価値を物価の面から考える方法として購買力平価があり、物価の上昇が通貨に与える影響はインフレと為替の関係で解説しています。

デノミ(通貨単位の変更)とは

デノミ(デノミネーション)とは、通貨の単位を切り下げる(桁を減らす)ことです。物価の上昇が長く続き、日常の値段の桁が大きくなりすぎた国で行われることがあります。

実例:トルコ(2005年)

トルコでは2005年1月1日に、旧トルコリラから6桁のゼロを取り除いた新トルコリラが導入され、100万旧リラが1新リラになりました。2009年には「新」の表記がなくなり、名称はトルコリラに戻っています(トルコ中央銀行の資料による)。

デノミをしても、それだけで通貨の購買力や対外的な価値が変わるわけではありません。値段の桁がそろって変わるだけなので、預金も物価も同じ比率で表示が変わります。トルコリラのその後の推移はトルコリラ円のページで確認できます。

よくある質問(FAQ)

日本円より安い通貨はありますか?

1単位が1円より安い通貨という意味なら、韓国ウォンやインドネシア・ルピア、ハンガリー・フォリントなどがあります。ただし、1単位の値段が安いことは、通貨が弱いことや国が貧しいことを意味しません。

一番高い通貨はどこの通貨ですか?

1単位あたりの値段では、クウェート・ディナールがよく挙げられます。クウェート中央銀行の2025年平均レートでは1ディナール=約3.26米ドルです。ただし、これは単位の決め方によるもので、最も強い通貨という意味ではありません。

価値の低い通貨は危ないのですか?

1単位の値段の大小だけでは判断できません。通貨のリスクを考えるときは、物価の安定、金利、為替レートの長期的な推移、値動きの大きさなどを見る必要があります。

円は価値が低い通貨ですか?

1単位の値段で見ると、円は1ドルが百数十円になるため小さく見えますが、それは単位の決め方によるものです。円が強いか弱いかは、ほかの通貨に対する一定期間の変化率で判断します。

参考資料

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